これまで項目履歴の追跡が可能だったオブジェクトと比較すると、まだまだ制限がありますが、それでも変更履歴の追跡ができるようになったことはありがたいです。
ちなみにリリースノートはこちらです→
Salesforce Spring '23 リリースノート「活動の項目履歴管理を使用してすべての変更を把握」今回は、項目履歴管理と項目値の変更履歴を取得する際に検討される、フィード追跡や自動化機能との比較について紹介いたします。
項目履歴管理とは
項目履歴管理を設定しておくと、レコード更新で「いつ」「誰が」「何を」変更したかを記録し、関連リストとレポートで確認できるようになります。

項目履歴の追跡は、いくつかの標準オブジェクトとカスタムオブジェクトで設定が可能で、設定しておくと自動で変更履歴を保存してくれる便利な機能ですが、項目数の上限や考慮事項もあるため、履歴管理の機能を検討する際には、要件と合っているか確認する必要があります。
機能を使用するか検討する際の主な考慮事項は以下のものかと思いますが、そのほかの考慮事項はSALESFORCE ヘルプの「
項目履歴管理」でご確認ください。
考慮事項
・オブジェクトごとに設定できる項目数は、標準項目とカスタム項目を合わせて最大20項目まで。
・数式項目、積み上げ集計項目、または自動採番項目は追跡できません。(そのほかの項目も有り)
・255文字を超える項目に対する変更は、編集済みとして追跡され、元の値と新しい値は記録されません。
・項目履歴管理の項目を設定してから追跡を開始するため、設定前の変更は履歴に含まれません。
・関連リストとレポートで確認できる期間は18か月間で、18~24か月間はデータローダまたは queryAll() APIで確認可能。
・プロセスビルダー、Apex トリガ、またはフローによってオブジェクトに変更が加えられ、現在のユーザに編集権限がない場合、その変更は追跡されません。項目履歴管理では現在のユーザの権限が優先され、システムコンテキストで発生する変更は記録されません。
コンテキストについてのSALESFORCE ヘルプはこちら「
フローが実行されるコンテキスト」
行動およびToDoの考慮事項
冒頭でお伝えしたとおり、これまで項目履歴の追跡が可能だったオブジェクトとは違う点があります。
・行動またはToDoで設定できる項目数は最大6項目まで。
・変更履歴の確認は関連リストではなく、関連リストに似たLightningコンポーネントで表示されます。また、Salesforce Classicまたはモバイルアプリケーションでは使用できません。
・レポートで変更履歴の確認はできません。(2023/3/15時点)
こちらは、ヘルプページには記載がないようですが、Salesforceカスタマーサクセスのウェビナー「Spring ’23 リリース注目の新機能」で説明がありました。
ウェビナーの資料はダウンロード可能ですので、詳しくご覧になりたい方は「
カスタマーサクセス日本」から、PDFファイルをダウンロードしてください。
活動の項目履歴管理については、PDFファイルの22ページに記載があります。
項目履歴管理の設定方法
一部の標準オブジェクト、カスタムオブジェクト、行動またはToDoで設定方法に少し違いがあります。
1.
【カスタムオブジェクトのみ】オブジェクトの詳細で「項目履歴管理」にチェックが入っていることを確認します。
入っていない場合は[編集]ボタンをクリックして、チェックを入れて[保存]をクリックします。
また、変更履歴をレポートでも確認する場合は、「レポートで使用する」にもチェックを入れておきます。
[設定] → [オブジェクトマネージャ] で、設定するオブジェクトを選択

2. [オブジェクトマネージャ] の[項目とリレーション] → [項目履歴管理の設定]をクリックします。

3. 追跡したい項目(最大20項目、行動とToDoは最大6項目)を選択し、[保存]をクリックします。
取引先、取引先責任者、リード、商談の場合は、有効化のチェックボックスがありますので、こちらにチェックを入れると、追跡可能な項目を選べるようになります。

4.変更履歴を関連リストで確認する場合には、ページレイアウトに履歴の関連リストを追加します。
【行動とToDo以外】 <関連リスト名>
標準オブジェクト:オブジェクト名+履歴
商談オブジェクト:商談項目履歴
カスタムオブジェクト:オブジェクト名+の履歴
【行動とToDo】
行動とToDoの場合はページレイアウトではなく、Lightningページで設定します。
行動またはToDoの任意のレコードページを開いて、歯車マークの[編集ページ]をクリックします。

おそらく、関連タブに「活動レコード履歴」コンポーネントが追加されていると思いますが、追加されていない場合は左側のコンポーネントから配置したい場所へドラッグ&ドロップで配置します。

項目履歴管理以外の履歴管理
機能にはそれぞれ特徴や考慮事項がありますので、項目履歴管理で要件を満たさなかった場合には、別の機能の検討が必要になります。
履歴管理についてお客様から相談された場合に、項目履歴管理のほかに、個人的に候補としてあげる機能をご紹介します。
【フィード追跡】
フィード追跡を設定すると、レコードの変更がchatterフィードに投稿され、関連オブジェクトのレコード作成もフィードに投稿させることもできます。
こちらも項目値の変更前と変更後がわかります。

フィード追跡は、「
45日前より古いフィード更新追跡に、いいね! やコメントがない場合は、自動的に削除されます。」とSalesforceヘルプにあるように、長期間保存を目的とするような使い方ではなく、レコードをフォローして、項目値に変更があった場合に、通知を受け取るなど監視的な意味合いで使うのかなと思います。
フィード追跡の詳細や設定方法はTrailheadの「
フィード追跡の有効化」からご確認ください。
【カスタムオブジェクトとフローの組み合わせ】
項目履歴管理では項目の設定に上限があり、保存期間も24か月間と制限があるため、その制限を超える場合や、主従関係の従オブジェクトで変更履歴をレポートで確認したい場合は、履歴管理用のカスタムオブジェクトを作成し、項目値に変更があった際にレコードを作成するフローを設定する方法をご提案します。
項目履歴管理も「StandardObjectNameHistory」 または 「CustomObjectName__History」のオブジェクトに履歴が保存される仕組みですので、同じようにカスタムオブジェクトで実現する方法です。
ただし、標準の項目履歴管理の履歴レコードは「データストレージ制限に含まれません」が、カスタムの項目履歴管理の場合は、ストレージ使用量に含まれますので注意が必要です。
最後に今回登場した、項目履歴管理とフィード追跡、カスタムの項目履歴管理の特徴を表にしてみましたので、どの機能で履歴管理を行うのか検討する際に、参考にしていただければ幸いです。
機能名 | 表示・確認場所 | 項目数 | 保存期間 | その他 |
項目履歴管理 | ・関連リスト ・レポート(行動またはToDoは不可) | 最大20項目。行動またはToDoは最大6項目 | 24か月間(画面で確認は18か月間まで) | ・ストレージ使用量に含まれない ・主従関係の従になっているカスタムオブジェクトのレポートは利用不可 ・項目監査履歴(有償オプション)の購入で項目数、保存期間の拡張可 |
フィード追跡 | ・chatterフィード ・レコードフォローで通知 | 最大20項目 | 45日前より古いフィード更新追跡に、いいね! やコメントがない場合は、自動的に削除 | ・オブジェクトのフィードに関するレポートには表示されない |
カスタムの 項目履歴管理 | ・関連リスト ・レポート ・通知機能もフローなど設定すれば可 | 制限なし | 無期限 | ・ストレージ使用量に含まれる ・ほかの2つと比較して設定に工数がかかる |
おわり