プロンプトビルダーと仲良しになりたくて、ちょくちょく学習用組織などでプロンプトを試しております。
「
プロンプトビルダー:日本語でプロンプトを書いて項目生成テンプレートを作ってみたよ」を書いてみてて、項目生成系は求める応答も実際の応答もわりと範囲が限られているので(その分取り入れやすいかと)、それならばメールドラフトはどうだろうと、今度はセールスメールテンプレートを作ってみました。
試してみたこと
営業担当者が取引先責任者キャンペーン(ウェブセミナー)への参加を促すメールを送信します。
その際、取引先責任者のレコード画面上のメールコンポーザから作業を行いますが、該当のキャンペーンの情報を適切に含めたメール内容のドラフトを Einstein に作成してもらいます。

事前準備:セールスメールを有効化する
「
プロンプトビルダー:日本語でプロンプトを書いて項目生成テンプレートを作ってみたよ」のときと同じ組織を使用していますが、このままだとプロンプトテンプレートの種別で「セールスメール」を選択できないため、セールスメールを有効化します。(組織によっては有効化されているかもしれないです)
[設定 > Einstein > Einstein セールス > Einstein for Sales]の画面を開き、「セールスメールを有効化」でトグルを切り替えて有効化します。

有効化した状態
セールスメールテンプレートを使用するための権限
権限セット「Einstein セールスメール権限セット」が必要です。
プロンプトテンプレート作成に必要な権限セットは「プロンプトテンプレートマネージャー」です。
セールスメールテンプレートの作成
1.[設定 > Einstein > Einstein 生成 AI > プロンプトビルダー]の画面を開き、【新規プロンプトテンプレート】をクリックします。

2.テンプレート種別などの設定を行い、【次へ】をクリックします。
プロンプトテンプレート種別:セールスメール
プロンプトテンプレート名:キャンペーン案内メールドラフト ※適当です。
API参照名:PMailDraftCampaign ※適当です。
テンプレートの説明:任意ですが、メール受信対象、関連オブジェクトを書いておくとわかりやすいかと思います。
オブジェクト:取引先責任者
関連オブジェクト:キャンペーン
3.テンプレートプロパティを設定します。

モデル種別:標準
「標準」と「カスタム」が選択できますが、「カスタム」は独自のLLMを使用する際に選択します。通常は「標準」で大丈夫です。
モデル:OpenAI GPT 4
いくつか用意されていますが、「OpenAI GPT 4」がおすすめされています。
Response Language Settings > Allowed Response Language(s):Japanese
応答言語設定 > 許可する応答言語 の設定です。
複数選択できますが、日本語が選択されていればOKです。

4.プロンプトを入力します。
画面上部の「プロンプトテンプレートワークプレース」でプロンプトを作成します。


Salesforceヘルプの
セールスメールのサンプルテンプレートなどを参考にし作成したプロンプトの内容です。
差し込み項目設定前のプロンプトです。
________________________
あなたは組織名の営業担当です。名前は送信者の姓 送信者の名です。
あなたが担当し新サービスを提案する予定の取引先責任者は取得者の名前 です。
直近で実施予定のキャンペーン(ウェブセミナー)への参加を取引先責任者に推奨します。
該当のキャンペーンはキャンペーン名です。
また、こちらのキャンペーンでは関連する別のキャンペーン親キャンペーン名についても詳細を説明する予定です。
別のキャンペーンは取引先責任者にとって有益なものであるため、こちらへの参加もアピールしたいです。
メールを生成するように依頼された場合、以下の指示に厳密に従わなければなりません。
指示:
"""
メール本文の内容に関連する言葉や内容を使用して、開封率を高める件名を生成してください。600文字以内でなければなりません。
明確で簡潔な言葉を使用し、能動態を使用して、冗長な言葉やフレーズ、無駄な言葉を避けてください。
質問に答える意欲があることを示して、取引先責任者がメールに返信するように間接的に促してください。
このイベント情報をメールに追加してください:キャンペーン名
キャンペーンの説明およびキャンペーンの開始日の情報をメールに追加してください。
ウェブセミナーの案内を記載しているウェブサイトのリンクを含めてください:https://www.circlace.com/salesforce/training
イベントに参加するための明確な行動呼びかけでメールを締めくくってください。
"""
今すぐ取引先責任者にメールを生成してください。
________________________
差し込み項目設定後のプロンプトです。
________________________
あなたは{!$Organization.Name}の営業担当です。名前は{!$Input:Sender.LastName}{!$Input:Sender.FirstName}です。
あなたが担当し新サービスを提案する予定の取引先責任者は{!$Input:Recipient.Name} です。
直近で実施予定のキャンペーン(ウェブセミナー)への参加を取引先責任者に推奨します。
該当のキャンペーンは{!$Input:Campaign.Name}です。
また、こちらのキャンペーンでは関連する別のキャンペーン{!$Input:Campaign.Parent.Name}についても詳細を説明する予定です。
別のキャンペーンは取引先責任者にとって有益なものであるため、こちらへの参加もアピールしたいです。
メールを生成するように依頼された場合、以下の指示に厳密に従わなければなりません。
指示:
"""
メール本文の内容に関連する言葉や内容を使用して、開封率を高める件名を生成してください。600文字以内でなければなりません。
明確で簡潔な言葉を使用し、能動態を使用して、冗長な言葉やフレーズ、無駄な言葉を避けてください。
質問に答える意欲があることを示して、取引先責任者がメールに返信するように間接的に促してください。
このイベント情報をメールに追加してください:{!$Input:Campaign.Name}
{!$Input:Campaign.Description}および{!$Input:Campaign.StartDate}の情報をメールに追加してください。
ウェブセミナーの案内を記載しているウェブサイトのリンクを含めてください:https://www.circlace.com/salesforce/training
イベントに参加するための明確な行動呼びかけでメールを締めくくってください。
"""
今すぐ取引先責任者にメールを生成してください。
________________________
プロンプトの構成:「”””」で指示を囲む
・「
あなたは ~
厳密に従わなければなりません。」までの前半部分は、Einsteinに背景(文脈)の説明を行っています。
・「指示:
"""」
「"""」
のように三重引用符で囲んだ部分が、具体的な指示になります。
・{}で囲まれている太字のテキスト部分が、リソースから設定した Salesforce上の項目の差し込み項目になります。画像では
青の太字になっているところです。
・差し込み項目を設定するリソース選択の画面での「取得者」は、2で設定した取引先責任者のことです。(アイコンが取引先責任者に変わっています)

5.プレビューでプロンプトの仕上がりを確認します。

解像度を有効にし、取得者(今回は取引先責任者)と関連レコードに既存のレコードを選択し、Preview Languageに「Japanese」を選択して、【プレビュー】をクリックします。

Einsteinでの生成の結果です。
------------------------------------------------------------
解像度
あなたはEPIC OrgFarmの営業担当です。名前は●●●●(実際はユーザー名)です。
あなたが担当し新サービスを提案する予定の取引先責任者はGalgey Ilsaです。
直近で実施予定のキャンペーン(ウェブセミナー)への参加を取引先責任者に推奨します。
該当のキャンペーンは2025年新サービス説明会です。
また、こちらのキャンペーンでは関連する別のキャンペーン2025年AIサービス無料トライアル【9ヵ月】についても詳細を説明する予定です。
別のキャンペーンは取引先責任者にとって有益なものであるため、こちらへの参加もアピールしたいです。
メールを生成するように依頼された場合、以下の指示に厳密に従わなければなりません。
指示:
"""
メール本文の内容に関連する言葉や内容を使用して、開封率を高める件名を生成してください。600文字以内でなければなりません。
明確で簡潔な言葉を使用し、能動態を使用して、冗長な言葉やフレーズ、無駄な言葉を避けてください。
質問に答える意欲があることを示して、取引先責任者がメールに返信するように間接的に促してください。
このイベント情報をメールに追加してください:2025年新サービス説明会
2025年リリース予定の次のサービスについて、説明会を実施します。
・AIによるブログ記事の下書き作成
・AIによる文章の校正
・AIによるアクセス解析指標の提案
・AIによる各チャネルに適した宣伝用文章の作成
2025年2月より、9ヵ月間半額でトライアル版を利用できるキャンペーン「2025年AIサービス無料トライアル【9ヵ月】」を実施予定ですが、こちらのキャンペーンについての詳細な説明を行います。および2025/01/20の情報をメールに追加してください。
ウェブセミナーの案内を記載しているウェブサイトのリンクを含めてください:https://www.circlace.com/salesforce/training
イベントに参加するための明確な行動呼びかけでメールを締めくくってください。
"""
今すぐ取引先責任者にメールを生成してください。
------------------------------------------------------------
応答件名:2025年新サービス説明会とAIサービス無料トライアル【9ヵ月】のご案内
本文:
Galgey Ilsa様
お世話になっております。EPIC OrgFarmの営業担当、●●●●(実際はユーザー名)と申します。
本日は、2025年にリリース予定の新サービスについての説明会のご案内と、その新サービスについての無料トライアルキャンペーンのご案内をさせていただきます。
新サービス説明会では、以下のサービスについて詳しく説明します。
・AIによるブログ記事の下書き作成
・AIによる文章の校正
・AIによるアクセス解析指標の提案
・AIによる各チャネルに適した宣伝用文章の作成
また、2025年2月より、9ヵ月間半額でトライアル版を利用できるキャンペーン「2025年AIサービス無料トライアル【9ヵ月】」を実施予定です。このキャンペーンについての詳細な説明も行います。
ウェブセミナーの詳細については、以下のリンクからご確認いただけます。
https://www.circlace.com/salesforce/training
ぜひ、この機会に新サービスの詳細をご覧いただき、無料トライアルキャンペーンにご参加いただければと思います。何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
EPIC OrgFarm 営業担当
●●●●(実際はユーザー名)
------------------------------------------------------------
なかなかいい仕上がりですので、このまま保存し有効化します。
※プレビューは何度もクリックできるので、応答に納得がいかない場合はプロンプトの編集とプレビューを繰り返してプロンプトを調整します。

メールコンポーザでドラフト作成を試してみた
セールスメールテンプレートの場合、有効化を行うとメールコンポーザから利用できるようになります。
1.取引先責任者レコード画面で、【メールを送信】アクション(メールのアイコンをクリックし、メールコンポーザを開きます。
※組織によって活動コンポーザ、メールを送信アクションの配置は異なります。

2.【Einstein を使用してドラフトを作成】をクリックし、作成したセールスメールテンプレートを選択します。

3.「このメールを適用する1つのキャンペーンを選択します」で今回取引先責任者にお知らせするキャンペーンを選択し、【続行】をクリックすると、Einsteinが処理を実行します。

作成されたメールドラフトを確認します。
------------------------------------------------------------
佐久 くすす様
EPIC OrgFarmの営業担当、●●●●(実際はユーザー名)と申します。この度は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
2025年に予定している新サービスについての説明会を開催いたします。詳細は以下の通りです:
・AIによるブログ記事の下書き作成
・AIによる文章の校正
・AIによるアクセス解析指標の提案
・AIによる各チャネルに適した宣伝用文章の作成
この新サービスについて、より詳しく知りたいとお考えではないでしょうか?
また、2025年2月より、9ヵ月間半額でトライアル版を利用できるキャンペーン「2025年AIサービス無料トライアル【9ヵ月】」も同時に実施予定です。このキャンペーンについても詳細を説明します。
こちらのウェブセミナーは、2025/01/20に開催されます。詳細は以下のリンクからご確認いただけます。
https://www.circlace.com/salesforce/training
今回のウェブセミナーにご参加いただき、新サービスとトライアルキャンペーンの詳細を確認いただければと思います。ご参加いただけますでしょうか?
ご参加を心よりお待ちしております。
敬具,
●●●●(実際はユーザー名)
EPIC OrgFarm営業部
------------------------------------------------------------
内容に問題がなければ【完了】をクリックします。メール本文にドラフトが挿入されます。

この状態で本文を修正し、メールを送信することも可能です。
・【元に戻す】をクリックすると、ドラフトは削除されます。
・【修正】をクリックすると、メール作成を指示するプロンプトをこの場で入力するか、他のドラフトに置き換えてドラフトを作り直す画面に切り替わります。

なお、こちらで✨の付いた鉛筆のアイコンをクリックすると、メールの文体が調整できます。

どのくらいカジュアルになるのか、今度試してみようと思います。
次回予告
次回は「メールのプロンプト手順を追加」の意味について記事を書きます。
特段複雑なことではないのですが、如何せん私はヘルプを読んだだけではどこのことを指しているかわからなかったので……。

参考
◇ Salesforce ヘルプ > ドキュメント > Einstein 生成 AI > プロンプトテンプレートの作成のベストプラクティス◇ Salesforce ヘルプ > ドキュメント > Einstein 生成 AI > プロンプトテンプレートライブラリの例関連記事
変更セットでのプロンプトテンプレート+プロンプトフローのリリースエラー事例と開発時の注意点
プロンプトビルダー:日本語でプロンプトを書いて項目生成テンプレートを作ってみたよ
Account Engagementで生成AIを使ってみた!!Salesforce管理者が生成AIを使うとどうなるか。認定AIスペシャリスト合格体験記_3つの所感Salesforce 認定 AIスペシャリストに合格したよ(勉強の参考にはあまりならないよ)